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こどもミュージック連載
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     息子が生まれた翌年の2011年の1年間、へるす出版(主に医療関係書を手掛ける)刊行の『小児看護』という雑誌で連載の仕事をしていました。タイトルは『こどもミュージック』。当初は、本来子ども向けの音楽として流通しているのではない音楽作品から、子どもにとって「おもしろ」な出会いがありそうなディスクをガイドする、という主旨でいこうと思っていたのですが、その方向は残しつつわりと真っ当に「子どもと音楽」について考えるという内容になりました。自分なりに、ではありますが。
     

     
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    こどもミュージック第1回「子どもが出来たら、やっぱディズニー」
     
     みなさんはじめまして。まずは自分の事から。2010年8月に男の子が生まれました。お父さん一年生と言うか、まだまだ一年生にもおよばないお父さん「赤ちゃん」のワタクシです。普段はこよなく音楽を愛し、おかしな奇声やノイズが不協和音と激突する珍妙なロックや、トランペットやサックスからツバが飛んできそうなグッシャグシャなエレクトリック・ジャズなどを好んでは聴いています。でも、これから子どもが大きくなるにつれて、わが家のスピーカーから流れる音楽は、子どものためのBGMが大きな割合を占めることになると思われ、今まで家の中の空気を震わせていた「わけのわからん」音楽は、イヤホンを通してお父さんの耳にダイレクトにひっそりと送り届けられる事になるでしょう。
     とは言え、出来ればわが子と音楽を楽しむ機会を共有したいというのも親心。「わけのわからん」ものも含めて、子どもにとって何か「おもしろ」な出会いになるような音楽について、この場をお借りして、自分なりに思いを巡らせていきたいと思います。以上、ここまでこの連載のイントロダクションでした。

     ところで、みなさんはディズニーランドには何回行ったことがありますか?。僕自身はいままで一度もディズニー・ランドに行ったことがありません。ディズニー映画は1981年以降の作品はほとんど観ていないという、現代においては極めて非ディズニー的な人間です。とくに理由はないのですが。でも子どもができて、今、本格的なディズニーとのおつき合いがはじまるのではないかと予感を感じているところなのです。というわけで今回はディズニーの音楽について少し。
     なんて言いながらも、実は子どもの頃はテレビで放送されたアニメ作品は結構積極的に観ていて、サウンドトラックのレコードは昔から持っていたりするのです。1973年にディズニーの50周年を記念して発売された、"50 happy years of disney favorites"というレコードは結構愛着のあるアルバムです。これは当時までの黄金時代ともいえる映画の楽曲をあつめた名曲集で、あらためて聴くととんでもなく素晴らしく、「ピノキオ」「白雪姫」「ジャングルブック」などなど、良いメロディーと編曲が惜しみなくつめこまれています。20世紀のアメリカの最も素晴らしい置き土産といいたくなるような、深みとワクワク感があり、何より心がなごみます。サービスに徹した、ある意味シリアスなエンタテインメントとも言え、子どもに聴かせるのがもったいないくらいです(なにか矛盾したことを言ってますが)。
     ウォルト・ディズニーは音楽家ではありませんが、音楽を映像と結びつける天才だったという点で音楽に対して多大なる功績を残したと言えます。そもそも映画に音がつくというトーキーという技術自体がディズニー映画によって発展したわけですしね。アニメ映画のトーキー第一号は1928年の『蒸気船ウィリー」という短編作品で、これはミッキーマウスの初登場作品でもあります。画面の中で、いろんなヴォードビルソングを歌いながら動きまわるミッキーの身のこなしとテンポにぴったり合わせて、オーケストラも飛びはねるような音楽を披露し、ミッキーのデビューを華やかに演出しています。短編アニメの伴奏と言えども、ここにはオーケストレーションの豊かな響きがあり、クラシック音楽ではあまり味わうことのできないスピード感とユーモアにあふれた素晴らしい世界があります。以後この映像と音楽が踊るように寄り添う手法は長篇へと発展し、ハリウッドではこの技術を「ミッキーマウジング」と呼ぶようになりました。
     まだ立ってもいないわが子ですが、こんな音楽を聴かせたら、心の中でピョンピョン飛びはね、世界を駆け回り、空を飛んだような気分を味わってくれるんじゃないかと、勝手に想像しているところです。息子よ、その気分の高まりこそミッキーマウジングだ。そして近い将来、親子ともどもディズニー・ランド初体験を果たすんだろうか。(2011年1月)
    イラスト、デザイン、文:梅村昇史
    | UMDK梅デ研 | 22:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
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